「だからね、あたしも明日花を利用してやろうって思ったんだよ」


「どういう事?」


あたしは眉をよせて郁美を見た。


今まで郁美と一緒にいて、郁美に利用されていると感じたことなんて1度もない。


「テスト前の試験勉強」


そう言われてあたしは思いだす。


勉強が得意じゃない郁美があたしに勉強を教わりに来たんだ。


その時あたしは、テストに出そうなところを教えてあげた。


「あれが、なに?」


「勉強が得意な郁美の勉強方法を盗んだんだよ」


そう言い、郁美はほほ笑んだ。


「あたしの勉強方法を?」


「うん。明日花はいつも遊んでたのに、どうして勉強ができるのか不思議だったんだ。その答えは明日花のヤマ勘にあったんだね」


確かに、あたしは一夜漬けのテスト勉強をする時、ヤマ勘を使っていた。


授業中にテストに出そうな部分をチェックして置いて、テスト前にそこだけ勉強するのだ。


先生たちは『テストに出る』という部分はちゃんと教えてくれているのだから、簡単な事だ。


そうすれば赤点にはならない。