お店を出たあたしたちは公園を歩いた。
この時間はカップルで
ベンチは占領されていて
あたしたちの座るスペースはなかった。
「ブランコに座る?」
しか座るところはない。
少しずつ動かしていると
結構気持ちよかったりもする。
「なんかさぁ~
小学生や中学の頃を思い出さない?」
「うん?」
「ガキの頃のデートって
公園ブランコじゃない?」
「あ~」
あ~しか言えないよね
あたしそんな経験すら無いんだから。
「昔さ 女の子を押しててさ
止めて!止めて!って言うのを
面白くてやめなくてさ
その彼女が落っこちちゃってさ
怪我させて親に怒られた経験があるよ」
「貴生さんっていじめっ子だったんだ」
「好きな子だったからね
ちょっかい出したくなるじゃん」
「あ~よく言うよね
好きな人には意地悪するって」
「綾子ちゃんはいじめられた経験あるの?」
「うーーん無いかな?」
「そっか・・・
今オレはね 綾子ちゃんの背中を
押して押して『やめてぇ!』なんて
言わせたいよ」
「何なんそれ!」
「えっ?わかんない?」
「わかんない」
「自分がさっき言ったじゃん」
「えっ?あたしがなんて?」
「もー!それ天然?
好きな人には意地悪するって」
「あっ・・・え?えぇーーーー」
「その驚きようにもウケるね
大袈裟なんだもんな」
そう言いながらあたしの背中を押してきた。
大袈裟とかじゃなくて・・・
好きな人とか言われるの初めてだから
びっくりしちゃって。



