「みなさま、中央にご注目を!!」


男がそう言うと同時に、ゴゴゴッと大きな音が響き体育館を揺るがせた。


彩美が耳を塞ぎ、あちこちから「なんだ!?」「地震?」といった混乱の声が聞こえて来る。


そんな中、突然体育館の床が左右に開き始めたのだ。


「なに!?」


「嘘だろ……」


開いていく床から咄嗟に飛びのいていく生徒たち。


あたしは唖然としてその様子を眺めていた。


開いていく床の下から、透明の部屋がせりあがって来る。


それは5~6人くらいが入れる大きさになっていて、中央が透明な壁で区切られている。


見るだけでもかなり頑丈な作りのようだ。


きっと、中は密室になっているのだろう。


奴隷部屋を経験しているあたしは、すぐにそう察することができた。


体育館内のざわめきは大きくなる。


まるでアニメの世界だと、嬉しがる声もあちこちから聞こえて来た。


彼らはまだ気が付いていないのだ。


これから、この透明な部屋の中で何が繰り広げられるのかを……。


「それではゲームの説明を始めます」


男が言うと、生徒たちはステージへと視線をうつした。


「これから毎日、朝、昼、夕の3回、2年A組の生徒には2人ずつその部屋の中に入ってもらいます。



そしてどちらかが死ぬまでバトルをしていただきます。なお、その箱の中に法律は存在しませんので、何も心配することはありません」


淡々と語る男に、あちこちから笑い声が起こった。


みんな、まだまだ信用できていないようだ。