「このターンより、煙の効果は最後まで継続されることになる」


その言葉にあたしの思考回路は止まった。


いま……なんて?


唖然としてステージ上の男を見た。


男はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべて、あたしを見ている。


「最後まで本物の狂気でバトルをしてもらうことになる」


その間にも彩美があたしに掴みかかってきて、あたしは必死にそれを振りほどいた。


煙の効果は最後まで継続される?


それじゃぁ、あたしだけがシラフで戦うってこと!?


そう理解した次の瞬間、加奈ちゃんがあたしの腕に噛みついて来た。


痛みに悲鳴をあげ、加奈ちゃんを突き飛ばす。


噛みつかれた腕からは血が流れ出し、床濡らして行く。


ものすごい力だ。


理性を失っている加奈ちゃんはそれでもなお攻撃を仕掛けて来る。


あたしは必死になって加奈ちゃんに殴りかかった。


考えていた計画を実行に移す暇なんてない。


何度も殴られ、何度も殴り返した。


そして壁際に追い詰められたのは……あたしの方だったんだ。