彼女がいるのに、そんなことしちゃだめなんだよって…言うべきなんだろうけど。
「……うん。帰る」
好きだから、一緒にいたい……
「私、山下くんと帰りたい……」
山下くんのシャツの裾を、キュッと掴んでみた。
山下くんの動きが停止する。
「…ほんとに、どうしちゃったの遠山」
「え……?」
私、なにか変なのかなぁ……?
頭がぼーっとして、うまく考えられないんだけど……
たしかに、ちょっと大胆なコトしてるよーな、してないよーな……
「なんかえろい」
「……え…?」
「困ったな」
「………?」
困ったって、何が……?
聞き返そうと見上げると、ほんとに困った、って顔の山下くんがいて。
やっぱり、綺麗だなぁ……
なんて思いながら見惚れる私。
「ちょっと、俺。理性が…」
へ……?
りせい。えっと、、漢字…変換…
「風邪、俺がもらってやろーか」
そう言って、
グイ、と顔を寄せてきた山下くん。
数センチの距離。
妖しく笑う、彼。
へ…っ、なにコレ…
「やましたく──」
「なーんてね」



