クラッ……。
眩暈のような感覚に襲われて、
「……っと、」
山下くんとの距離が再びゼロになる。
山下くんの甘い匂い。
あったかい体温。
目を閉じたら、
このまま眠ってしまいそう。
「じゃあ、来週の土曜日に行こうか」
「うん…っ」
あー……幸せだなぁ
これちゃんと現実なのかなぁ……
「……まぁ、遠山がほんとに追試受かってたらだけど」
「……うかってるもん」
ゆっくりと、
山下くんが私の身体を離した。
優しい表情のまま、笑う。
「一緒に帰ろ、遠山」
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