腕の力を少し弱めて、山下くんは私を見つめてくる。
……危ない。
熱のせいでうっかりだった。
だめ。言ったらだめ。
山下くんは今、笹川さんと付き合ってるんだし…
なにより、
" 遠山のこと、女として見てないから "
自惚れちゃだめ。
山下くんは私のことなんて
なんとも思ってない……
「す…、スイーツバイキング行きたい」
苦しまぎれに出た言葉。
どう考えても今の状況に相応しくない言葉だけど、勢いで「好き」とか言っちゃうより、全然いーし……
なんとか誤魔化せた……よね?
あ、山下くん笑った……
「何言い出すかと思ったら……そんなに行きたいの、スイーツバイキング」
「えっ、あ、 うん!!」
「じゃあ今度……連れてってやる」
「…………」
………今なんと?!
「えっ、今、連れてってやるって聞こえたような……」
「うん。そう言ったじゃん。聞こえなかった?」
「き……聞こえた!!!」
えっ?えっ?!
うわぁあああどうしよう!?
大パニック。
えっ、なんでそんな楽しそうに笑ってるの山下くん!
まさか、「嘘だよ、ばーか」とか言うつもりじゃ……
「遠山頑張ったから、ごほーび」
……なかった!!!



