山下くんがテキトーすぎて。





山下くんの腕の中で暴れる私。



ドキドキ、ドキドキ。


この心臓の音、聞かれたくない。





「頑張ったね」




ドキン──



耳元で囁かれて心臓が跳ねる。


このタイミングとこの態勢は、
やばいよ……



頭がぼーっとして、クラクラして。




「や、山下くん…」



「ん?」



「……ありがとう」



そう言って顔を上げると、



「どーいたしまして」



優しく笑う山下くんの顔があって……



私、もう……





「山下くん、あのね、す───」





言いかけて、ハッと思いとどまった。





「……なに、遠山?」