山下くんの甘い匂い。
あったかくて気持ちいい。
「……愛音ちゃん、熱あるだろ」
「ん……?熱……?」
山下くんの腕の中で、
頭はクラクラ、心臓はバクバク……
そう言われてみれば身体あっつい……
おかしいな。
追試の時まではなんともなかったのに。
「……無理してたの?」
耳元で声が聞こえたかと思うと、ぎゅっと抱きしめられた。
……これは現実なのか。
頭がクラっとして、つい山下くんの腕の中に倒れちゃったけど……
展開が……なんていうか、甘すぎる。
「そういえば……昨日寝てないかも」
「はぁ!? 何やってんの。ほんっと、ばかなんじゃないの」
「……追試の勉強やってたから」
どうしよう。末期だ。私、もう末期。
山下くんに「ばか」って言われて喜んでる。やばい。やばいよ。
腕の力を弱めてくれない山下くん。
だから……あついんだってば。
もう、ムリ……っ限界!!!!
「……山下くん、離してっ」
「愛音ちゃん、やわらかくて気持ちい」
「え、何それ……私が太ってるってこと?」
「んー、どうだろうね?」
……そんな!ひどいよ!
っていうか、その前に、
「……離してってば!」
「先に抱きついてきたのはそっちだよ。愛音ちゃん」
「……っうるさいいい!抱きついたわけじゃないもん!ちょっとフラついただけだもん!」



