図書室を出た山下くんが足を止めたのは、全然人が来ないような非常階段の前。
なにここ、暗っ!!
「愛音ちゃん、」
「……なんでしょう」
「なんであいつに数学教わってんの」
「……山下くんが、寝てたから」
「そんなの、起こせばいいでしょ」
「だって、熟睡してたし……」
はあ、と
山下くんが溜め息を吐く。
「で、大倉クンは
優しく教えてくれた?」
「う、うん…」
「ふうん…よかったね」
抑揚のない声でそう言いながら、
山下くんが一歩、私に近づいた。
そして、私の髪にそっと触れる。
「愛音ちゃんてさ、
つくづく俺の言うこときかないよね」



