山下くんが眠っているであろうベッドに音を立てないように近づく。
静かすぎて自分の心音がやけに大きく聞こえるから、意味がないことはわかっているけど、おさまれという願いを込めて右手で胸を抑えた。
そして反対の手でカーテンに触れる、と。
──ヴーッ、ヴーッ。
中から聞こえてきたのはスマホのバイブ音のような音。
ひととき待ってみても鳴り止まないので、恐る恐るカーテンをスライドしてみる。
……あ。
まず目に入ったのは、穏やかな吐息をもらしながら眠る、その美しい顔。
胸が僅かに上下している以外はどこも微動だにしない。
枕元に、未だに音を発し続けるスマートフォンが無造作に置かれていた。
耳元で鳴っているにもかかわらず、スマホのご主人は一向に目を覚ます気配がない。
熟睡……。
普段もあれだけ寝てるくせに、どうして……。



