ハラハラと見守っていると、どうやら山下くんが折れそうな……。
「言うこと聞かないんなら強制連行だな」
藤本くんがニヤリと怪しく口角をあげた。
そして手のひらを山下くんのそれに……重ねて。指を、絡めた。
「うわっ、何すんの気持ち悪」
「愛の恋人繋ってやつな。俺がベッドまで連れてってやるよ山下クン」
今!語尾にハートマーク見えた!
んえええこの二人なんかすごい!!
(ちょっとドキドキ……って、こら私!)
「んじゃ遠山さん、俺こいつ連れてくから担任に伝えといてくれる〜?」
いつもの陽気な藤本くんに戻って、手が繋がれてない方の手をヒラヒラとさせる。
「う、うん!わかった!」
二人の背中を見送る。
振りほどくこともできるはずだけど、山下くんは素直に手を繋がれていた。
「智、お前今度殺す」
「うん、楽しみに待ってるよ山下クン」
───智(さとし)
藤本くんの下の名前……。
ふと、不思議に思った。
「山下」と「智」。
藤本くんが山下くんを下の名前で呼ばないのは、どうして?
……別に、そんな細かいこと気にしなくていいとは思うけど。
それがなぜか小さな違和感となって、心の奥に残った。



