だめ。言ったらだめ。
思わせぶりなことしないで。
私に簡単にキスしないで。
笹川さんともキスしちゃ、やだ。
お似合いだなんて言わないで。
ほんと、無神経な人。
……なんて。
きらいなんて嘘だよ。ほんとはね、初めて見た時から──
「私は山下くんが……」
口を開いた、直後。
ぐらりと視界が揺れた。
……え?
目を見張る。
……違う。揺れたのは私じゃない。
山下くんの体が傾いていく。
私はそれをスローモーションで見てる。
ひゅっ、と息を飲み込む。
身動きが取れなかった。
どっ…と鈍い音を立てて、山下くんの体が
力なく廊下に横たわった……。



