「っとにかく!私はあした大倉くんと楽しんでくるから!!山下くんも笹川さんと……」
「行くなよ」
手首に冷たい体温が伝わる。
戸惑う。
いつもと違う山下くんに。
「大倉と二人で出かけないで」
次第に力がこもってくる、その指先。
逆光。眩しいオレンジ。
表情が読めない。でも、苦しそう……。
意味分かんない。頭が整理できない。
「俺と行くのがそんなに嫌だった?それとも遠山は、大倉が……好きなの?」
──違う。私が好きなのは山下くん。
だけど山下くんは私のこと、好きじゃない。
"遠山のこと、女としては見てないから"
恋愛対象外……。
そして、何より彼女がいる。
私より何倍も可愛い、笹川さんが……。
キス、してた。
苦しかったもん。あんな苦しい思い、もうしたくないんだもん。
「……大倉くんが好き、だもん」



