大倉くんは振り向かない。

私の少し前を歩きながら、まっすぐの方向を見てる。




「明るい子だなって思った。よく笑うし、裏表なさそうだし」



校門を出て、1つ目の交差点。

赤信号で足を止めた。


意識的に少し距離を開けて隣に並ぶ。


胸が鳴ってる。ちょっと痛いくらい。




「純粋に、可愛いなって思った。遠山さんのこと」




───ドン。


うわ、また来た。ドン。
胸がドンドンって鳴るやつ。


どうやらドキドキが最高潮に来たときになる音らしい。




「でも俺が1番可愛いなって思うのは、遠山さんが山下を見てるときかな」