不覚。でもしょうがない、今は。
今だけだから。
こんなに苦しいのは今だけにするから。
自分の机の角を持って、山下くんの机からガッと引き離した。
なにが、" もっと、こっちだろ " だ!
思わせぶりなことしないでよ。
ばか山下くん。
もう、くん付けするのも嫌になってきた!今度から、ばか山下って呼んでやる!
" 俺はばかじゃないよ、遠山 "
……〜〜っ。
置き勉の秀才むかつく!!
クソ山下にしよ。
「愛音、いったん落ち着け?」
「ちょー冷静だよ!」
「どこが。机、そんなに離したら不自然だって。反対側のお隣さんとくっつきそうじゃんか」
「このくらいがちょーどいーの!」
「………」
憐れんだような視線を私に向けたかんなは、一度俯き、深く息を吐いた。
そしてまた、私に向き直る。
「今そんなことしなくても、明日は月はじめだから席替えがあるよ」
「……えっ?」



