私は条件反射的に、顔が燃えたように熱くなる。
「こっ、これは…山下くんが今日、教科書を忘れたと言ったので……」
俯きながら語尾がどんどん小さくなっていく私。
先生から視線を逸らすと、先生と同じようにニヤニヤと笑っているかんなと目が合った。
「そうかそうか、眠っていても教科書は必要なのか。やはり秀才は違うなぁ。ワハハ」
先生の皮肉に皆が再び笑ったあと、ようやくいつもの諸連絡が始まった。
皆の視線が前に戻ったことを確認してから、ふう、と小さく息を吐き出す。
せっかく人が忘れようとしている時に。
席が近いと落ち着かないし、イヤでも山下くんのこと考えちゃうじゃん。
……人の気も知らないで気持ちよさそうにして。
難しい。忘れるって、そんな簡単にはいかないらしい。
なんとかいい方法は……。
考えてみても、気持ちを忘れる方法なんて具体的にあるわけもなく。
結局、昼休みまでずっと
どこか落ち着かない気分を味わっていた。



