甘い匂い。制服越しに感じる体温。
それはこの前の追試の日の出来事を──山下くんに手を引かれて帰ったこととか、
お姫様抱っこで家まで運んでくれたことの、忘れていた記憶までも思い出させた。
途端に体全身が脈を打ったみたいにバクバクしはじめて、
私は慌てて山下くんの腕の中から抜け出た。
「なんで机っ、くっつけるの!?」
「遠いより、近い方がいーでしょ」
「よ、よくないよ」
「なんで」
なんで、じゃないよ!
私はキミを好きな自分を忘れようと必死なんだよ!
しかも、今質問してるのは私の方なんですけど…!!
「じゃあ、俺教科書忘れたことにする」
……な、
「なんでやねん……」
「お、関西弁だ」
はぁ……なんか脱力。
やっぱり寝起きの山下くんはイミフすぎる。
イミフなのにドキドキする。



