そして、かんなの方をちらっと見たかと思うと。
「あのさ、悪いんだけど、ちょっと遠山さんのこと借りていい?」
遠慮がちに、そう言った。
ん? 今、 私を借りるって言った?
前にもどこかでそんなセリフを聞いたことがあるような、ないような……
「うん、いーよ。大倉くんなら許す。愛音のこと、よろしくね」
って、え? かんな何言ってんの?!
突っ込む暇もなく、
「それじゃ遠山さん、行こ」
グイッと腕を引っ張られた。
幸い、クレープは全部食べ終わってたけど……
いや、クレープなんかどうでもいいよ。
「い、行くって、どこに…?」
「いーからいーから」
待たせていた4人の女の子に、ごめんね〜また明日ーと軽く笑って手を振ったあと、
大倉くんは私の手を引いたままクレープ屋さんを出た。
いや、軽すぎない!?
女の子たち一緒に来てたのにいいの!?
なんか、視線が痛いんだけど……。



