「と、とりあえず落ち着いて愛音。ちょっとあたしも頭整理したいんだけど、もしかしてもう山下に告ったの?」




かんなにそう訊ねられて
一度、ズズッと鼻をすする私。




「……ううん、まだ。でも私とは付き合わないってはっきり言われた」




「……そっか。よしよし」



かんながポンポンと優しく頭を叩いてなだめてくれる。




「いやぁ、あたしもうっかりだったわ。まさか、愛音が泣くほど山下のこと好きだったとは」




「うっ……」




「愛音、めったに泣かないのにね」



「ううっ……」



自分でもびっくりなんだけど…。


山下くんと笹川さんが今一緒にいるって考えるだけで、なんでこんなイヤな気持ちになるの?



私、どんだけ山下くんのこと好きなの?




もぉ、やだ…。



「……あれ、遠山さん?」



突然声をかけられ、肩がビクッと上がる。

……え?



「あ、やっぱり遠山さんだ」



背後から、聞き慣れた声。


この声って、もしかしなくても……