「ねぇ、ちょっと行きたいカフェがあるんだけと、今日どうかな?」
笹川さんは首を傾げながら、山下くんに遠慮がちにそう訊ねた。
山下くんのことだから、てっきり
「面倒くさい」とか言うんだろうな……
なんて思ったのもつかの間。
「いーよ。行こうか」
面倒くさいどころか、迷う素振りも見せずに……、
むしろ、気乗りしている様子で
山下くんは笹川さんに笑いかける。
心臓がまたドン、と鳴った。
同時に、胸に痛みが走る。
……山下くん、楽しそう。
笹川さんのこと好きじゃないって言ってたけど、ほんとにそうなの?
すっごく可愛いし、ほんとはまんざらでもないんじゃないの……。



