「ええっ!?あの中邑君から勉強教えてもらったぁ!?」

次の日の昼休み、友達の栞(しおり)に昨日の話をすると、栞はよほど驚いたのか大きな声でそう叫んだ。

私は慌てて栞の口を手で押さえる。


「ちょ、ちょっと声大きい!!恥ずかしいから叫ばないで」

「これが叫ばずにはいられないでしょ!何やってんのアンタ!!」


栞がそう叫ぶのも無理はないけど。

まさか後輩から勉強を教えて貰うのですらあり得ないのに、それがまさかの中邑くんなんだもの。


「あっちから教えてあげるって言われたんだよ。断ろうかと思ったけど、断れないオーラだしててさ。で、仕方なく……」


「で?教えてもらうだけで終わったの?」

「え?も、もちろん。それ以外に何があるのさ」

私の答えに、栞は大きくため息をつく。

な、なんでため息?


「だから何やってんのよ栞。中邑君と仲良くなるチャンスじゃない!!」

「チャンス?」

「そう!どうして勉強を教えてもらうだけで終わっちゃうの!」