「で、南?その化粧は、なにか心境の変化でもあったんですか~?」



――昼休み。


栞はニヤニヤとしながら、私に聞いてくる。

バレない程度にやったつもりだったけど、栞には私の変化がすぐ分かったみたい。


「え!?わ、分かるの?別に何でもないよ!」

「分かるよ~!私を誰だと思ってんの!ふーん、そうか。中邑君がらみですね?」

「そんなつもりじゃないよ。ただいつも適当だったし、ちょっと早く起きれたから……」

「へえ~……。恋をすると人間変わるねぇ~」


自分の気持ちを言うのが恥ずかしくて、栞にはそうごまかしたけど、勘のいい栞には気付いていたようで……。


「まあ、頑張りなよ。上手くいくように応援してるから」


そう言って、肩をポンと叩かれた。

その間もずっとニヤニヤしていて。

もう、栞。
その笑顔怖いよ……。



放課後、私は図書室へと向かう。

いつもと違うのは、この胸の高鳴り。

中邑くんに早く会いたいって気持ちが強くて、自然と足取りが早くなった。


二階へ下りて廊下のつきあたりを曲がったところに図書室はある。


階段を下り終わって廊下に出たとき、少し先を中邑くんが歩いているのが目に入った。



ドキリと胸が鳴る。

一気に身体の体温が上昇する。


だけど。


その胸の高鳴りが別なものに変わった。