相撲の勝敗が決まったのか、みんなが教室に戻って来た。


あたしはちょうど朝ご飯のおにぎりを食べ終えたところだった。


「チホちゃん! 俺が勝ったぞ!」


有馬はそう言い、拳を突き上げた。


みんな泥だらけだ。


「さすがだね」


有馬は見るからに体格がいいから、相撲などの勝負になったら強そうだ。


思いっきり体を動かした有馬は清々しい顔をしている。


「よし、それじゃぁ成仏させてもらおうか」


床にドカッとあぐらをかいてそう言う有馬。


「その様子でも、まだ心残りがあるの?」


あたしがそう聞くと、「バカにすんなよ。俺の心残りが相撲だなんて、そんなわけねぇだろ」と、ふてくされた表情で言った。


さすがにそれはないか。


あたしは笑って、有馬の前に正座をして座った。


「じゃあ、有馬の心残りはなに?」


「あぁ。俺は学校の先生になる事が夢だったんだ」


突然そう言われてあたしは目を見開いた。