「じゃぁ、唯人って呼んでいいよ!」


「……は?」


とても嬉しそうにそう言う住田唯人に、あたしは唖然としてしまって返事をすることも忘れてしまった。


「チホ、唯人、そうやって呼び合えばいいだろ?」


『いいだろ?』って、その自信がどこから来ているのか教えてもらいたい。


「なんであたしが呼び捨てにしなきゃなんないの!」


しばらく返事を忘れていたあたしは、ようやくそう言った。


なんだかわからないけれど、会話をしているだけでこれほど疲れたのは初めてだ。


住田唯人は天然なのかもしれない。


「なんで嫌なんだよ? 俺たち友達だろ?」


その言葉にあたしはまた言葉を失いそうになった。


「と、友達……?」


昨日突然家に押しかけてきて、しつこいくらいチャイムを鳴らされて、アイスの当たり棒の喜びをかき消したくせに、友達だと?


「あぁ。昨日会話したから今日はもう友達」


ニコッとほほ笑む住田唯人を見ていると、もうどうでもよくなってくる。


あたしたちの関係が友達だろうが、兄弟だろうが、関係ない。


「あ、そう。でも呼び捨ては嫌だし、こんな朝早くから来るのは友達でも非常識だよ」