昼が近づいてきてもあたしはなんのやる気も起きなくて、教室にひいた布団の上に寝転んでいた。


和と唯人には体調がすぐれないと言ってある。


「大丈夫か?」


和があたしの隣に座り、心配そうな顔を向ける。


「……うん」


あたしは真っ直ぐに和を見返す事もできず、曖昧に頷いた。


本当は体の調子はすこぶるいい。


単純に、みんなと過ごしたこの学校から出るのが嫌なんだ。


せっかく男子と仲良くなれた。


普通に会話することもできたし、自転車で一緒に買い物にも行った。


今までのあたしからすれば、それは信じられない、まさに夢のような時間だった。


できればこの学校から出て行きたくない。


夢のような時間が今日で終わってしまうなんて、考えたくもない。


「本当は元気なんだろ」


含み笑いを込めた声にあたしは顔を向けた。


唯人が笑顔を浮かべてあたしを見ている。


その笑顔に胸の奥が締め付けられるような感覚になった。


除霊がすべて終われば、唯人ともきっともう会えなくなる。