「あたしはいいってば」


「どうして? 川、好きだろ?」


「好きだけど……」


あたしは服の袖をギュッと掴んだ。


水にぬれるとTシャツが体にへばりつく。


体のラインが見えてしまうのが嫌だった。


せっかくみんなと仲良くやれているのに、妙な目で見られるかもしれない。


この関係が崩れる事も嫌だった。


「チホは何を我慢してるんだ?」


唯人にそう言われて、あたしはその目をジッと見つめた。


とても穏やかで、優しい目。


「が……まん……?」


「あぁ。会った時からずっと思ってた、チホは本当の自分を出せていないって」


その言葉が胸に突き刺さるようだった。


「そんなことないよ」


「何を我慢してる?」


「我慢なんてしてない」


「してるだろ?」


「してないってば!!」


思わず声が大きくなり、川で遊んでいた3人の動きが止まった。