「あれ?もしかして、人違い?」

「き、き、き・・・・・・」

"君は誰?"と訊きたいのに言葉が出てこない。こんな時に吃音の症状が出てしまった。実にもどかしい。脚を叩いて無理やり言葉を出そうとする俺。そんな俺を見て、なぜか彼女は嬉しそうに笑った。

「その喋り方!やっぱりユウジくんだ!!」

そう言うと、彼女はいきなり俺に抱き着いてきた。驚きのあまり、水筒を落とし、変な声が出てしまう。どうしていいか分からず、石像のように固まってしまう俺。初めての感覚に、戸惑いを隠せない。嗅いだことのないような良い匂いが鼻孔を刺激する。彼女は1人大盛り上がりだ。俺の心臓も盛り上がりすぎてどうにかなりそうだった。

「あ、あ、あの~・・・」

「あっ、ごめんね。嬉しくって、つい」

彼女は俺から離れると、さりげなく隣に座った。まだ胸のドキドキが止まらない。本当にどうにかなりそうだ。俺は彼女の方を見れずにいた。