それからすぐにB組も調べおえて、3人が戻って来た。


アラタ先輩と目が合うが、咄嗟にそらせてしまう。


アラタ先輩は無言のままあたしの頭をポンッとなでた。


その手の大きさが辻本先生とそっくりで、あたしは驚いてマジマジとアラタ先輩を見つめてしまった。


「なんだよ、なにかついてるか?」


「い、いえ、なにも……」


普段は怖いイメージしかないけれど、一応はあたしを慰めてくれているみたいだ。


アラタ先輩の以外な一面を見て少し心臓がドキドキしている。


ドキドキした気持ちを抱えたまま、C組も探し終えた。


あとは2クラスだけだ。


あの悲鳴は本当にこの階から聞こえて来たんだろうか?


そう思いながらD組に差し掛かった時だった。


人の声がドアの向こうから聞こえてきて、あたしたちは立ち止まった。


それはすすり泣きのようなとても小さな声だった。


だけどその鳴き声に混ざって、「大丈夫だから」とか「もうウイルスは消えたんだ」という男性の声が聞こえて来たのだ。


間違いない、あれは辻本先生の声だ!!


そう思い、ドアを一気に開いた。