集合場所であるフルリエルの店先で待っていると、「やあ、リル」と声をかけられた。

そちらに目を向けると、アーディとメアがにこやかに手を振っている。

リルも笑顔で手を振り返すと「すごい盛り上がりね」と辺りを見渡した。


「後夜祭はいつもこんな感じよ。みんな騒ぎたいだけなの」


メアは呆れたように溜め息を吐いたが、それでも楽しそうな顔をしている。

きっとメアも楽しんでいるんだろう。

そう思ったのはリルだけでなかったようで、アーディから「メアもそうでしょ」と指摘されると、「そんなことないわよ!」なんて照れ隠しをした。

「楽しみにしてるのは本当のくせに」と笑うと、アーディはリルに微笑んだ。


「昨日はリルと街を回れなくて残念がってたんだよ」


するとメアは顔を真っ赤にして「違う!」と言うがまるで説得力はない。

リルはそんなメアが微笑ましくて、「私も昨日はメアと回れなくて残念だったの。ごめんね」と言うのだが、メアは「リルが謝ることじゃないわ」とそっぽを向く。


「リルはあのフルリエルで働いているんだもの。忙しくて当然だわ」


「昨日の分も今日楽しめばいいのよ」と言うメアに、アーディは「昨日はすごく残念だったもんね」と意地悪く笑う。

メアはアーディに「ばか!」と赤い顔で言いながら叩くのだが、それは単なる照れ隠しに過ぎずほほえましささえあった。

温かい気持ちで見守っていると「なんだ、騒がしいな」と後ろから声をかけられた。

「す、すみません!」

リルは振り返ったのだが、そこには平民の服を纏ったシオンがいた。