……そういえば。
すっかり忘れていたけど、今週の土曜日で圭悟と離婚して半年が経つ。

そうか、もう半年。
そんなに月日が経ってたんだ。

半年前の私は、もう男なんて当分いいやなんて思ってたのに。
智樹に会ってから、めまぐるしく自分の環境が大きく変わって……。


この日は、私の記念すべき日だ。


半年前は、終止符を打った日。

そして半年後は、新たなスタートを切る日。


「智樹。私、土曜日に引っ越しがいいな。ちょうど仕事も休みだし、それに」

「それに?」

「鳴嶋京香に戻って、半年目なんだ。その日」


ちょうど赤信号にひっかかり、車が停止する。
信号を気にしながら、智樹は私を見てフッと笑う。

「……じゃあ記念日だね。その日がなかったら、俺とは出会ってなかったんだから」

「そうだね。半年前は決していい日ではなかったけど。苦しくて、辛い日だった。全てが一からの始まりだったから」

「でも、いつかはそんな日もあったって笑って言えるように、俺が幸せにするからさ。俺は絶対に京香を辛い思いなんかにさせない。これから俺と作る記念日は、笑い合えるものにしような」

「そうだね。嬉しい言葉、……ありがとう」

信号が青に変わって、車はゆっくりと動き出した。
流れる景色が、滲んでぼやけている。


智樹の言葉が心に染み渡って、涙が止まらなくなった。