あたしの能力が現れ始めたのは丁度幼稚園に入園した時くらいからだった。


あの頃のあたしは番号が寿命を示しているなんて知らなかったから、人の番号を簡単に口に出していた。


『野乃花ちゃんは数字を言うのが得意ね』


先生にそうやって褒められたことが嬉しくて、あたしはみんなの番号札を読み上げた。


そんなある日、あたしは気が付いたのだ。


自分自身を鏡に映してみても、番号が見えない事を。


みんなが首から番号札をかけているのに、どうして自分だけ持っていないのだろう?


どこかに忘れてきたのかもしれないと思い、家や幼稚園のクラスや公園を暗くなるまで探した事もあった。


『どうしてあたしには数字がないの?』


先生や両親にそう聞き、困らせたことも何度もあった。


小学校へ入学していろんなことを勉強するうちに、ようや番号札は自分にしか見えていないのだと言う事に気が付いた。


あの時は本当に衝撃的で、みんなが嘘をついているのだと思った事もあった。


だけど、どうやらみんなの方が正解らしい。


番号札は、普通の子には見えないんだ。


そう理解した時、あたしはすでにクラスで孤立していたのだった。