それからあたしと聖也は手術室の前に戻ってきていた。


それとなく事故の状況を聞いてみると、聖也が語ったのを同じ内容を伝えられた。


事故が起こった時聖也は間違いなく学校にいた。


現実に見る事のできない映像を、聖也はすべて知っていたのだ。


「いつからなの?」


あたしがそう聞くと、聖也は「幼稚園くらいの頃かな」と、なんでもない様子で言った。


「人に言った?」


「昔はね」


「今は?」


「もう言わない」


「おかしい子って、思われるから?」


そう聞くと、聖也はおかしそうに笑った。


どうしてその質問で笑うことができるのか、あたしにはわからなかった。


「そうだね。自分を守るためだね」


聖也はほほ笑んだまま、そう言った。


「辛いよね、人と違うのって」


「あぁ。だけどその分可能性は広がると思うんだ」


「可能性?」


あたしがそう聞き返した。