聖也と過ごす時間はとても濃厚だった。


普段は決して言わない自分の能力について、思う存分話をすることができる。


それは聖也も同じだったようで、あたしたちは課題をしている間にも会話が途切れることはなかった。


「こんな事言うと引かれるかもしれないけど」


聖也がふとペンを止めてそう言った。


「なに?」


あたしはプリントから視線を上げた。


真正面に座っている聖也と目が合い、ドキッとする。


こうしてちゃんと聖也の顔を見てみると、和に負けないくらいカッコいいと言う事がわかった。


学校では大人しい生徒だから、気が付きにくいけれど。


「今、俺すごくドキドキしてるんだ」


「え?」


「たぶん、野乃花の事が好きなんだと思う」


聖也の言葉があたしの心の中に入ってきて、ジワリと溶けるように広がった。