どうして礼なんかを助けようと思ったんだろう。


男3人に引きずられるようにして移動しながら、あたしは今更ながらそんな後悔をしていた。


礼の番号札が二桁でも、そんなのほっとけばよかったんだ。


散々周囲に迷惑をかけて、好き勝手してきた礼が死んだってきっとみんな悲しまない。


あたしは自分の胸元へ視線を向けた。


昔からそうだ。


あたしはあたしの番号だけは見る事ができないんだ。


あたしが明日死ぬのか、それとも今日の内に死ぬのか、それはわからない。


気が付けば目の前には黒塗りのワゴン車があり、男たちはそれに乗り込み始めた。


サッと血の気が引いていくのがわかる。


こんな車に乗せられたら、どこへ連れて行かれるかわからない。


恐怖が体中を包み込み、声もでない。


「早く乗れよ」


強引に後部座席に引きこまれて、あたしの視界が滲んだ。


後部座席はすべてスモークになっていて、外から中の様子がわからないようになっている。