母さん

「色々、酷いこと言ってゴメンな。母さんの作ったお弁当、本当は凄く美味しかったよ。毎日、俺の為に作ってくれてありがとう。今までは沢山苦労もかけたけどさ、これからは俺が母さんを沢山幸せにしてやるからさ。沢山笑わせてやるからさ。だからさ、生きてくれよ。まだ死なないでくれよ。母さん」
俺は心のどこかで母さんという存在が不死身で、いつまでもそこにいる存在だと思っていた。そして、失いかけて初めてその有り難さに気づき、自分の気持ちに素直になることができた。俺は本当に大馬鹿野郎だった。思い出されるのは母さんに対して酷いことを言った自分の姿ばかりだった。頭の中が後悔でいっぱいになっていた。
「母さん、俺、母さんのことが大好きなんだよ。"マザコンだ"って言われてもいい。本当は俺、母さんのことが大好きなんだ。生まれ変わっても、俺、母さんの息子になりたい」
その時、俺には母さんが笑ったように見えた。気のせいだったのかもしれないけど、たしかに、俺には母さんが笑っているように見えたんだ。