俺には友達はいなかった。もちろん、恋人も、好きな人さえも。どこかの学園ドラマや、アニメのように、下駄箱で後ろから友達や、彼女が元気よく声をかけてくれるような展開なんてのは、俺の人生では今だかつて経験したことはなかった。部活なんていうダルいものにも入ってなかった。教室へ入り、授業を受け、昼になれば母の作ったワンパターンな弁当を食べ、休憩時間には机で狸寝入りをして気配を消し、授業が全て終われば帰る。家に帰ると母が出迎えてくれた。
「おかえり」
「ただいま」
「学校、どうだった?楽しかった?」
「別に」
そして、俺は夕飯までの間、自室へ籠る。飯を食った後は風呂に入って、後は寝る。それだけ。これが俺の一日の全てであり、俺の世界の全てだ。毎日がこれの繰り返し。まるで中身のない、空っぽな一日。実につまらない学生生活だった。青春もなにもあったものではない。
―いっそのこと隕石でも降ってきて、なにもかも消し飛んでくんねぇかなぁ
毎日そんな風に思っていた。
俺にとって学校なんてものはクソ以外の何物でもなかった。それでも、"高校だけは出といた方がいい"という周りの言葉を受け、頑張って3年間耐えた。なにもない3年間だった。