僕は亜美の言葉を聞いて、
心臓が止まってしまうほどにドキリとした。




亜美は、
僕がやったあのことに気づいている。




僕が今ここで、
亜美に対する言葉を間違ってしまったなら、
僕はきっと殺される。




いったい、どうすれば……。




僕は動揺しながらも、
亜美に優しく話しかけた。




「亜美、
とりあえず、このロープをほどいてくれないか?


もう一度、
冷静になって話し合おう」




「なぜ、島田信一が
私を殺そうとしたか?


島田信一は、
島田家の一人娘、
静子と結婚したかった。


だから島田信一は、
私にいなくなって欲しかった」




「亜美、
きみは冷静さを失っている。


きみが今、
僕にしていることは、
立派な犯罪だ」




「島田信一は、
自分だけが幸せになりたかった。


憧れていた贅沢な暮らしを手に入れたかった」




「亜美、
冷静になってくれ。


きみは間違ってる。


きみは、
一時の感情に任せて
大切な人生を台無しにしようとしている。


もう一度、
考え直した方がいい。


だってきみは……」




「黙りなさい!」




亜美はそう叫んで
果物ナイフをふりかざした。




そして亜美は、
その果物ナイフを躊躇なくふりおろし、その果物ナイフは
僕の左腕に突き刺さった。