私が監禁されているこの部屋には、私しかいなかった。




そして、どういうわけか、いつも閉められている部屋のドアが開いていて、私の胸は高鳴った。




〈 私に奇跡が起きている。

どういう理由かはわからないけれど、部屋のドアが開いている。

私は今なら、部屋の外へ抜け出せる 〉




私を監禁している連中の油断だろうか?




私はもう、自力では起き上がれないとでも思ったのだろうか?




私は千載一遇のこのチャンスを逃さぬよう、頭痛や吐き気をこらえ、立ち上がった。




〈 名城純、たしかお前が私に言い渡した刑期は、三日だったな。

オレはお前にR-GPS法のまねごとをしたことを後悔させてやる。

三日経てば、私は無罪だ。

それがお前が憎むR-GPS法だ 〉




私はおぼつかない足取りで、必死になって走り始めた。




私は監禁部屋を抜け出し、自由を求め、この建物の長い廊下を走り抜けた。