私は息を切らし、凍えるような寒さを感じながら、名城純をにらみ、今にも消えてなくなりそうな気力を振り絞った。




「名城純、私を殺せ!

私は命を失うことより、自分の信念を曲げることが恐ろしい。

お前に少しでも情けがあるのなら、私のことを殺してくれ!」




名城純は、そう言った私の顔を見て、言葉静かに私に言った。




「池下、お前は何にこだわっているんだ。

お前はもうすぐ死ぬんだ。

だからお前はもう、自分の言葉に責任を持つ必要なんてないんだ」




〈 聖夜、運命に逆らうな。

人は楽に生きた方が…… 〉




「私はR-GPS法を考案したことを誇りに思っている。

私はならず者の暴力に屈して、自分の信念を曲げることはない。

私は国家犯罪撲滅東京支庁の管理官、池下聖夜だ。

私は世の中の犯罪を減らし、国の財政に貢献できたことを誇りに思って、死んでいく」




私がそう言ったとき、名城純の顔つきが変わった。