今回の復讐で、オレが重要視していることは、池下聖夜にR-GPS法を間違った法律だと認めさせることだ。

それができなければ、オレの復讐は完結したとは言いがたい。

オレはR-GPS法で、大切な恋人の未来を失った。

理不尽な罰が、オレの恋人の足の骨を砕き、彼女は歩けなくなってしまったから……。

人は過去には戻れない。

そんなことは百も承知だが、それでもオレは、もしもあのときと、考えずにはいられない。

もしも、オレの恋人の足の骨が砕かれなかったならば、オレたちは今でも、幸せな恋人同士でいられただろうか?

もしも、オレの恋人の足の骨が砕かれなかったならば、彼女は今でもオレに笑顔を向け、二人で街を歩くだろうか?

もしも……。

もしも……。

もしも……。

オレはいつも女々しく過去のことばかりを思っている。

二人がまだ幸せだったあの頃を……。