「その人はもういません。

その人は、私に茶封筒を手渡すと、サッサッとどこかへ行ってしまったんです。

ごめんなさい。

でも、私は嘘をついていません」




私は怒りに任せて、手渡された紙切れを破り捨てた。




〈 何がR申請によりTGTに認定されただ!

いい加減な通知を寄越しやがって!

R申請を許可するのは、この私だ!

NJが私に寄越したこの紙切れには、何の法律的根拠も存在しない! 〉




私は怒りで呼吸を乱しながらも、冷静になっていくにつれ、しだいに不安な気持ちが込み上げてきて、辺りを見まわした。




法律による後ろ楯がなくても、人は誰かを恨めば、復讐をするから……。




つまり、NJとその仲間たちは、心から私を恨み三日以内に私を殺すと宣言してきたのだ。




〈 なぜ、愚民は私の理想を理解できないのだ?

同害復讐法を越えるくらいの復讐が、犯罪を未然に防ぐ抑止力になっているんだ。

それでも犯罪を犯そうとする者は、もはや国の敵だ。

徹底的に罰してやり、社会復帰すらできなくしてやれば、犯罪を犯そうとするヤツの見せしめになるではないか!

それが私の考案したR-GPS法だ。

R-GPS法は、私の誇りだ! 〉