オレには毎日、胸が押しつぶされそうな思いをする瞬間がある。




それはオレが美奈子に会うときだ。




美奈子は池下聖夜が考案した腐った法律、R-GPS法の犠牲者だ。




オレは車椅子に座っている美奈子を見る度に、過去に戻りたいと、心から願う。




もしも過去に戻れたら、オレは美奈子を救えるかもしれない。




もしも過去に戻れたら、美奈子がR申請をされずに済む方法があるかもしれない。




もしも過去に戻れたら、オレは美奈子の笑顔を見れるかもしれない。




もしも過去に戻れたら……。




オレは、過去が姿を変えないことを知りながら、何度も何度も、同じことを心から願っている。




なぁ、美奈子。




お前はもう、オレにあの笑顔を見せてはくれないのかい?




美奈子、未来は姿を変えるかもしれないけれども、過去だけは、どうしても姿を変えてはくれないんだ。




美奈子、オレはお前の仇を取るよ。




オレはR-GPS法を考案した池下聖夜に、お前が受けた以上の苦しみを与えてやるんだ。