「アンタ、今日はどこに行きたい?」




敦子が運転席に座り、車のエンジンをかけた。




「どこがいいかな?

人が来ないような静かな場所をドライブしようか?」




「アンタ、ナンパ師のクセに地味なことが好きなのね。

ところでアンタ、仕事には行かなくていいの?」




「大丈夫さ、オレは自由業なんだ」




「アンタが言うと、嘘くさいわ。

まぁ、私も仕事にあぶれたイラストレーターだから、アンタと変わらないか?」




敦子はそう言うと、ゆっくりと車を走らせた。