なぜ、今日に限って、オレの誘いに乗る女がいないのか?




オレは苛立ちながら、その理由を探していた。




〈 オレがケガをしているから、女が寄ってこないのか?

それとも、オレが帽子とサングラスをしているから怪しまれるのか?

わからない…… 〉




オレの顔からしだいに笑顔が消え、自分が同じ場所に居続けているリスクの大きさが気になり出してきた。




〈 もしかしたら、オレの余裕のなさが、女に伝わっているのかもしれない……。

焦るな。 冷静になるんだ……。

焦ったら、余計に事は上手くいかなくなる。

大丈夫だ。 自分を信じるんだ。

いつでも、どんなときでも、オレを救ってくれる女は必ずいるから…… 〉




オレは冷静を装おって、女に声をかけ続けた。




そしてオレがナンパを始めて、二十分が過ぎようとしたとき、一人の女がオレの声に足を止めた。