24時間、防犯のために稼働している建物の中に、オレは息をきらして入り込み、そのままうつぶせになって倒れ込んだ。




張り裂けそうな心臓の鼓動。




酸素を求めて乱れる呼吸。




オレの肉体は悲鳴を上げていたが、オレの心は安堵感に包まれていた。




〈 やった! やったぞ!

オレはついに逃げきった!

菜々子のヤツめ、ざまぁみろ!

何が復讐だ!

何がR申請だ!

やっぱり勝ったのは、オレじゃないか! 〉




オレはそう思うと、ここ何年か味わったことのない幸福感に包まれた。




安全に生きられることの素晴らしさ。




警察官のありがたみ。




やっぱり犯罪は悪なのだと、オレは心の中でつぶやいて、静かにそっと目を閉じた。