オレはいったい、どれほど走り続けただろう?




日が沈み、辺りは暗くなり、国道を走る車の明かりが次々とオレの近くを通り過ぎていく。




オレの額からは、大粒の汗が流れ、爪が剥がされた右手の指先は、血は止まったものの、相変わらずズキズキと痛んでいる。




誰にも頼ることができない、誰が敵だかもわからないそんな状況で、オレの不安はしだいに大きくなって、オレの心に襲いかかってくる。




オレは必死に走りながら、間違っている国の法律を憎んだ。




〈 R-GPS法は、犯罪を激減させた素晴らしい法律だって?

そんな話は大ウソだ!

R-GPS法は、犯罪にカウントされない凶悪な犯罪を生み出しているじゃないか!

ふざけてるよ、この法律は、本当にふざけてる!

何でこのオレが、絶望の淵に追いやられ、命の危険を感じなくてならないんだ! 〉




オレの憤りが、頂点に達しようとしたとき、オレの目に希望の光が飛び込んだ。




〈 あの建物は、警察署じゃないか?

やった!

オレは、やっと安全地帯に辿り着いたぞ。

人間のクズのようなリベンジャーのフォロワーたちも、聖域である警察署内では、オレを襲ってはこれない。

あと二日半、オレはあの警察署の中にいればいい。

オレは助かったんだ。

ついにリベンジャーたちを振り切った。

これでオレは無罪だ! 〉




オレは息をきらしながら、犯罪が起きるはずがない警察署内に逃げ込んだ。