「おい、お前!

イカれた自殺志願者ヤロウ!

テメェが死にたいならば、オレが地獄を見せてやる!

だからお前は、そこを動くな!」




オレは、いかつい坊主頭の男に背を向け、走り出した。




〈 動くなと言われて、素直に言うことをきけるかよ!

オレだってそれほどバカじゃねぇ……。

とにかくオレは、この場所から逃げなくちゃ……。

オレはもう少しで死にそうだったんだ。

オレの背中を押したヤツは、冗談抜きで、殺人未遂だ!

何でオレが知らないヤツにそんなことをされなくちゃならないんだよ!

狂ってるよ、R-GPS法ってヤツは……。

狂ってる……、本当に狂ってる…… 〉




オレは死への恐怖に怯えながら、警察署に逃げ込もうと、心の中で決めていた。




きっとオレは、一人で自分の身を守れない。




警察に頼ろう。




警察ならば、きっとオレを救ってくれる。




オレはそう思って、走り続けた。




安全地帯である警察署に逃げるために……。