オレは少し大きめな道路まで行くと、走っている車に片っ端から手を振って、車を止めようとしていた。




でも、オレの願いとは裏腹に、オレとすれ違うすべての車がオレの存在を無視して、スピードを落とすこともなく走り去っていく。




オレはオレを見捨てていく車、すべてに悪態をついて、薄情な他人を憎んだ。




〈 このオレがこんなにも困っているのに、誰も止まりやしねぇ。

それにしても、右手の指先が痛くて仕方ない。

血も止まらねぇし……。

病院に行って、ちょっとした処置だけでもしてもらいたい……。

誰かオレを車に乗せろよ!

この人でなしども! 〉