オレはいつの間にか、五人の男女に囲まれて、逃げ場を失っていた。




それを見て、気力が萎えたオレの腕を金髪の雄一と偽善者口調のサラリーマンとがつかみ、オレはついに拘束された。




「今からオレたちの車に行くからな。

オレたちはこう見えても紳士だからよ、ちゃんとお前の罪の軽重を調べてからお前を罰するんだ。

お前はラッキーだよ。

リベンジャーの前で、弁明の余地をもらえるんだぜ。

お前、もしかしたら、軽い罰で済むかもよ。

今から必死になって、いいわけを考えな。

これから楽しい裁判の始まりだ。

裁判の行方が楽しみだぜ」




雄一はそう言って、ケラケラと笑った。




菜々子を騙すことしか考えていなかったオレに、逆転無罪の可能性などあるだろうか?




オレはそっと目をつぶり、口先だけで、もう一度、菜々子を騙す方法を考えた。




〈 最高の演技と最高のセリフがあれば、リベンジャーたちの怒り静めることができるだろうか?

オレは今まで、七人の女を騙した詐欺師だ。

人を騙すことには自信がある。

もしかしたら、オレはチャンスをもらったのかもしれない。

だったらオレは、詐欺師らしく最高の芝居を演じよう。

まわりの観客を魅了するほどに……。

神さまどうか最高のシナリオをオレに下さい。

生涯で最高の嘘をつくために…… 〉